高齢化社会では、身体の弱った高齢者が激増し、医療の需要が高まる一方と言えます。医師や看護師といった医療従事者は常に不足し、このままだと医療は逼迫するでしょう。病床を減らす政策によって、中軽度の症状では入院も難しくなるかもしれません。そこで、高齢者の疾病罹患率を下げ、健康な高齢者を増やす努力が必要です。高齢者は必ず病気になる訳ではありません。95歳を過ぎても風邪一つひかず元気に自立生活を営む高齢者もいます。日頃の食生活や運動などを適正に管理できたら、かなりの疾病を防げるでしょう。特に、糖尿病や高血圧といった生活習慣病は、食生活の改善により相当の減少が望めると言われています。
しかし、自力で食生活を改善することは容易ではありません。第三者のサポートが必要です。有効な支援が可能な職種として、看護師が挙げられるでしょう。看護師は、地域に根差した訪問看護や医療相談などの場面で食生活を指導できるのです。食事の内容だけでなく、高齢者の咀嚼や嚥下の方法についても指導が欠かせません。管理栄養士や介護職員と連携すれば、実効的なサポートが可能なのです。運動についても、過不足なく健康に寄与できる量をこなすのは、素人には難しいでしょう。
理学療法士や作業療法士の運動支援について、医療の立場から看護師がアドバイスを加えると、高齢者に適切な運動を提案できます。健康維持には睡眠も重要です。睡眠時の姿勢や呼吸法が適切で、良質の睡眠を確保できると、心身の疲れが取れて、免疫力がアップするでしょう。看護師は睡眠指導の場面でも活躍が可能です。